AIは「回答」を超え、「行動」を始めています
AIは「回答」を超え、「行動」を始めています
AI Agent時代に新たなセキュリティが必要な理由
AI Agentは、質問に回答するだけの存在を超え、 自ら判断し、Tool・MCP・APIを呼び出して実際の業務を遂行する実行主体へと進化しています。 それに伴い、企業セキュリティの焦点も 「何を回答したのか」から 「なぜその行動を選択し、実際に何を実行したのか」まで 広げていく必要があります。
AI Agentセキュリティは、PromptとResponseだけを保護する問題ではありません。 Prompt · Context · Memory · Reasoning · Tool Call · Action · Auditへと続く 実行経路全体をつなげて可視化し、 必要に応じて実際の行動が実行される前に制御できる必要があります。
1. AIは企業における新たな「実行主体」になりつつあります
企業における生成AIの活用方法は急速に変化しています。 初期の生成AIは、ユーザーの質問に回答したり、 文書を要約したり、メールやレポートの作成を支援したりするなど、 人の業務を補助するツールとして利用されるケースが中心でした。
しかし、AI Agentの登場によってAIの役割は大きく変化しています。 AI Agentはユーザーの要求を理解するだけでなく、 与えられた目標を達成するために必要な作業を判断し、実行することができます。 状況に応じて外部ToolやMCP Server、業務APIを呼び出し、 データベースやファイルへアクセスし、 複数のシステムを連携させて実際の業務を遂行することも可能です。
つまり、企業が管理すべきAIの範囲は、 「AIが何を回答したのか」から 「AIが何を判断し、どのような行動を取ったのか」へと拡大しています。
図1. 生成AIからAI Agentへの変化:回答生成から実際の業務実行へ
2. AI Agentが実際の業務を行うと、セキュリティの問いも変わります
例えば、ユーザーが社内AI Agentに 「今月のプロジェクトコストを分析し、必要なフォローアップを実施してください」 と依頼したとします。 従来の生成AIであれば、関連データを分析し、 結果をまとめるところで業務が完了する可能性があります。
一方、AI Agentは社内システムからコストデータを取得し、 必要な文書を読み込み、 外部Toolを利用してデータを分析することができます。 さらに分析結果に基づき、担当者へメールを送信したり、 承認プロセスを作成したり、 業務システムへデータを入力したりするなど、 その後のアクションまで実行することができます。
この過程において、AIはもはや単なる情報提供者ではありません。 企業のデータやシステムへアクセスし、 自ら判断して実際の業務を遂行する新たな実行主体となります。 AIの活用範囲が広がるほど、 企業が考慮すべきセキュリティの範囲も同時に拡大する必要があります。
3. 正当な権限で実行された行動は、常に安全なのでしょうか?
従来の企業セキュリティ体系は、 ユーザーとアプリケーションを中心に発展してきました。 IAMとSSOは誰がシステムへアクセスできるかを管理し、 WAFとAPI GatewayはリクエストやAPI通信を保護します。 EDR/XDRはEndpointで発生する脅威を検知し、 SIEM/SOARは複数のシステムで発生したセキュリティイベントを収集・分析します。
こうした既存のセキュリティ体系は、 AI Agent環境においても引き続き重要です。 しかし、AIそのものが一つの実行主体になることで、 これまでには存在しなかった新しい問いが生まれます。
「正当な権限を持つAI Agentは、なぜこの行動を選択したのでしょうか?」
AI Agentが正しく認証されたアカウントを使用し、 企業が許可したAPIやToolを呼び出した場合、 従来のアクセス制御の観点では正常な行為に見える可能性があります。 しかし、Agentが誤ったContextを参照していたり、 Memoryに保存された情報が汚染されていたり、 外部入力によってReasoningの過程が歪められていた場合、 結果は大きく異なる可能性があります。
つまり、権限が正当であっても、行動そのものが誤っている可能性があります。 従来のセキュリティがユーザー・プロセス・ネットワークイベントを監視する一方で、 AI Agent環境では Prompt → Context → Memory → Reasoning → Tool Call → Action へと続く判断の文脈までつなげて確認する必要があります。
4. これからはAIの「判断」と「行動」を一体として保護する必要があります
従来の生成AI環境では、 PromptとResponseの安全性を確認することが 重要なセキュリティ領域でした。 しかし、AI Agent環境では、 保護すべき範囲がさらに広がります。
AI AgentがどのようなPromptを受け取ったのか、 どのContextやMemoryを参照したのか、 どのような判断を行ったのか、 その結果どのToolを呼び出し、 どのようなActionを実行しようとしているのかまでを、 一つの実行フローとして確認する必要があります。
そのため、単に 「このAgentにはこのAPIを利用する権限があるか?」 を確認するだけでは不十分です。 さらに、 「現在の根拠や状態、そして企業ポリシーを踏まえた場合、 このAgentがこの行動を実行することは妥当なのか?」 まで確認できる必要があります。
また、危険な行動を検知した後に 管理者へ通知するだけでは十分ではない場合があります。 AI Agentが直接業務システムを変更したり、 外部へデータを送信したりできる環境では、 実際の行動が実行される前に、 再確認、人による承認、隔離、遮断などの対応手段が必要です。
図2. ASH™がつなげて可視化するModel-to-Action実行経路と4つのセキュリティレイヤー
5. AIの判断から実際の行動までを保護するCOONTEC ASH™
COONTECのASH™は、 AI Agent環境向けのAI Agent Security Platformです。 既存の企業向けセキュリティソリューションを置き換えるものではなく、 従来のセキュリティ体系だけでは把握や制御が難しい AI Agentの実行レイヤー(Execution Layer)を補完することが重要な役割です。
ASHは、AIの実行フロー全体を MODEL → PROMPT → REASONING → TOOL → ACTION → AUDIT という観点でつなげて保護します。 そのために、Model Gate、RunWatch、EndForce、Enterprise Editionという 4つのセキュリティレイヤーを提供します。
Model Gate
外部モデルの導入段階でモデルを検証し、 AI-BOM/SBOMを生成します。 脆弱性、悪性要素、完全性、署名、Provenanceを確認し、 承認されたモデルのみがRegistryおよび運用環境へ 移行できるように制御します。
RunWatch
AgentとLLM・MCP・Toolの間の実行経路に連携し、 Prompt · Context · Memory · Tool Call · Actionを監視します。 また、根拠性、一貫性、ポリシー適合性を評価し、 状況に応じて ALLOW · RE-ASK · APPROVE · SHADOW · QUARANTINE · KILL などの対応を適用できます。
EndForce
RunWatchの判断を、 実際の実行環境におけるポリシー適用へとつなげます。 Process · File · Network · Deviceなど、 EndpointレベルでAgentの行動が 実際の制御につながるよう支援します。
Enterprise Edition
AI-BOM · Agent · Toolなどの資産、 ポリシー、行動の可視性、Audit情報を一元管理します。 SIEM/SOAR、IAM/SSOなど既存のセキュリティ運用体系と連携し、 企業全体のAIセキュリティを 単一のポリシーおよび監査体系へ統合します。
6. 既存セキュリティを置き換えるのではなく、新たなセキュリティギャップを補完します
AI Agentが登場したからといって、 既存の企業セキュリティ体系が不要になるわけではありません。 ユーザーのIdentityと権限を管理するIAM/SSO、 NetworkとAPIを保護するWAF/API Gateway、 Endpointを保護するEDR/XDR、 セキュリティイベントを分析・対応するSIEM/SOARは、 引き続き重要です。
ASHが保護しようとするのは、それとは異なる領域です。 User → AI Agent → Reasoning → Tool/API → Action という新たな実行経路が企業の業務環境に生まれることで、 従来のセキュリティ制御の間に新たに発生した AI Agent Execution Securityのギャップを補完します。
そのため、ASHは既存のセキュリティと連携しながら、 AIモデルの導入からAgentの判断、 Toolの利用、実際のAction、そしてAuditまでを 一つの流れとしてつなげます。
図3. 既存のEnterprise Securityを維持しながらASH™がAI Agent実行レイヤーを補完する構造
7. AI Agentセキュリティで確認すべき重要な変化
| 区分 | 従来のセキュリティにおける主な問い | AI Agent環境で追加される問い |
|---|---|---|
| Identity / Access | 誰がアクセスできるのか? | なぜその権限を使用して、この行動を実行したのか? |
| API / Tool | この呼び出しは許可されているのか? | 現在の業務目的と判断の文脈において、このToolの選択は妥当なのか? |
| Endpoint | どのようなプロセス・ファイル・ネットワーク動作が発生したのか? | Agentの判断結果を、実行前にどのように制限または遮断するのか? |
| Audit | どのようなセキュリティイベントが発生したのか? | Model → Reasoning → Tool → Actionの実行経路全体をどのように追跡するのか? |
8. AI Agentが普及するほど、「何をしたのか」を保護する必要があります
AIが回答するツールを超え、 直接行動する実行主体へと変化することで、 AIセキュリティの基準も変わりつつあります。 今後は、AIが生成したResponseの安全性だけでなく、 どのような根拠に基づいて判断し、 どのToolを選択し、 実際にどのような行動を実行したのかまで 確認し、制御できる必要があります。
特にAI Agentがより多くの企業データやシステムと接続され、 自律的に実行できる業務範囲が広がるほど、 こうした実行プロセスに対する 可視性と制御の重要性はさらに高まっていくでしょう。
COONTEC ASH™は、 モデル導入からAgentの判断と実行、 Endpointにおける実際の行動、 そして企業全体のAuditまでをつなげることで、 AI Agentが安全にビジネス価値を生み出せるよう支援します。
